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神戸地方裁判所 昭和55年(わ)536号 判決

本籍

兵庫県加古川市志方町東中八〇番地

住居

同 市志方町東中一八六番地の一

会社役員

木村薫

昭和一七年四月二三日生

本籍

兵庫県加古川市志方町東中八〇番地

住居

同 市米田町平津三一三番地の二二七

会社役員

木村義昭

昭和二二年五月一〇日生

本籍

兵庫県加古川市志方町東中八〇番地

住居

同 県高砂市伊保町龍山二丁目一番九号 山水産業社宅

会社役員

木村政行

昭和二四年四月二四日生

右木村薫に対する犯人隠避、公務執行妨害、木村義昭に対する道路交通法違反、公務執行妨害、木村政行に対する公務執行妨害各被告事件につき、当裁判所は、検察官藤田壽一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人木村薫を懲役二年に、同木村義昭を懲役一年六月及び罰金八〇〇〇円に、同木村政行を懲役一年六月に各処する。

被告人木村義昭においてその罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から、被告人木村薫、同木村政行に対し三年間それぞれの刑の執行を猶予し、同木村義昭に対し三年間その懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その三分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人木村薫は、山水産業株式会社の代表取締役、同木村義昭及び同木村政行は、同社の取締役であるが、

第一  被告人木村義昭は、昭和五三年九月二六日午後四時二九分ころ、兵庫県公安委員会が道路標識により最高速度四〇キロメートル毎時と定めた兵庫県姫路市広畑区夢前町三丁目一番地付近道路において、右最高速度を越える五九キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転して進行し、

第二  被告人木村薫は、木村義昭が前記のように道路交通法違反罪を犯したものであることを知りながら、その処罰を免れさせる目的で、同年一二月一八日及び同五四年一月一七日の二回にわたり、同市本町六八番地の一一四姫路区検察庁において、その取調に当った同区検察庁検察官事務取扱検察事務官茨木勇及び検察官副検事室崎重好に対し、前記の道路交通法違反罪は、自己が前記普通乗用自動車を運転中に犯したものである旨虚偽の事実を申し立て、もって右木村義昭を隠避せしめ、

第三  被告人三名は、共謀のうえ、昭和五五年五月一三日午後四時四〇分ころ、同県加古川市米田町平津三一五番地の一所在の前記山水産業株式会社所有の鉄筋コンクリート造六階建山水ビル四階の同社事務所において、被告人木村薫に対する所得税法違反嫌疑事件に関し、大阪地方裁判所裁判官の発した臨検、搜査、差押許可状により、同事務所の臨検、捜索及び証拠書類等の差押に従事中の大阪国税局収税官吏大蔵事務官石川幸夫ほか二十数名に対し、被告人木村薫において「お前ら出て行け。お前らが出て行かなんだらガソリンに火つけてそんな書類はビルごと燃やしたる。わしの建物にわしが火つけて何が悪いか。ガソリン持って来い」、「お前ら出て行かんと火をつけるぞ」などと怒号し、被告人木村政行において同事務所のタイル張り床に灯油及びガソリンを撒き、差押手続中の証拠書類等にもこれを浴びせるなどしたうえ、被告人木村義昭において点火した新聞紙を持ち、いまにも右証拠書類等及び右山水ビルに火を放ち右石川らの生命、身体に危害を加えかねない気勢を示して同人らを畏怖させ、もって同人らの職務の執行を妨害し

たものである。

(証拠の標目)

判示善事実につき

一、第一回公判調書中の被告人三名の各供述部分

判示第一、第二の各事実につき

一、証人岩本敏彦の当公判廷における供述

一、被告人木村義昭の検察官に対する昭和五五年五月二七日付供述調書二通

一、藤本宣明、岩本敏彦(二通)の検察官事務取扱検察事務官に対する各供述調書

一、藤本宣明、岩本敏彦、阿部春治、小林一二三(八丁綴のもの)の検察官に対する各供述調書

一、検察事務官作成の同年五月二七日付搜査報告書

一、司法警察官作成の現行犯人逮捕手続書及び「レーダー取締りによる速度違反現認搜査報告書」、「搜査現認状況報告書」と題する各書面

判示第一の事実につき

一、司法警察員作成の昭和五三年九月二七日付実況見分調書

一、速度測定カード

判示第二の事実につき

一、被告人木村薫の検察官事務取扱検察事務官(昭和五三年一二月一八日付)及び検察官(昭和五四年一月一七日付)に対する各供述調書

判示第三の事実につき

一、被告人三名の当公判廷における各供述

一、公判調書中の被告人木村薫(第五、第六回公判)、同木村義昭(第六、第七回公判)、同木村政行(第七回公判)の各供述部分

一、被告人木村薫(昭和五五年五月三一日付、同年六月二日付)、同木村義昭(同年五月二三日付、同月二八日付、同月二九日付、同月三一日付、同年六月二日付)、同木村政行(同年五月二三日付、同月二八日付、同月二九日付、同月三〇日付、同年六月二日付)の検察官に対する各供述調書

一、公判調書中の証人石川幸夫(第二、第三回公判)、同豊田智郎(第三、第四回公判)、同宮崎安一(第四回公判)の各供述部分

一、中澤光雄、浅井泰(二通)、松本五平、前田八郎、大井田博、中井義一、酒井隆行、山内隆信、吉川勝、山本武、篠原滋、米田福雄、伊藤智之、大角ちづる、神吉照子、松井敏一(二通)、菊地泰代の検察官に対する各供述調書

一、司法警察員作成の同年五月二三日付実況見分調書、同月二六日付搜査復命書

一、国税査察官作成の査察官報告書

一、大蔵事務官作成の臨検搜査てん末書謄本

一、臨検・搜査・差押許可状謄本

(法令の適用)

罰状

判示第一の事実 道路交通法一一八条一項二号、二二号一項、四条一項、同法施行令一条の二第一項(罰金刑選択)

判示第二の事実 刑法一〇三条、罰金等臨時措置法三条一項一号(懲役刑選択)

判示第三の事実 刑法六〇条、九五条一項(各懲役刑選択)

併合罪の処理 被告人木村薫につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(重い判示第三の罪の刑に加重)、被告人木村義昭につき同法四五条前段、四八条一項

労役場留置 被告人木村義昭につき刑法一八条

執行猶予 刑法二五条一項(ただし被告人木村義昭については懲役刑についてのみ)

訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 鈴木輝雄)

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